和風の雲のイラスト
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Velo-city 2025 Gdansk前回開催の概要と内容まとめ

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Velo-city2025 グダニスク(ポーランド) 開催概要

日時

2025年6月10日(火)~13日(金)

主会場

Amber Expo

メインテーマ

連帯に活力を Energizing Solidarity

サブテーマ

自転車が持つ社会的な力 The Social Power of Cycling

共に創る都市の変革 Shaping the Urban Transformation Together

公正な移行に向けた政治的連帯 Political Solidarity for a Just Transition

楽しみと健康のためのサイクリング Cycling for Joy and Health

経済の活性化と省エネルギーのためのサイクリング Cycling to Boost the Economy and Save Energy

今回の開催地グダニスクの歴史的運動の象徴である「連帯(Solidarity)」をメインテーマに、4日間の会期で約80もの全体会議や分科会が実施されました。出展:Velo-city 公式サイト

全体会議 Plenary Sessions

全体会議は、会議の参加者全員が一堂に会し、大会のテーマを象徴する重要な議論が行われるセッションです。ここでは、オープニングを飾った基調講演と、3日目の「健康」をテーマにした会議の様子をご紹介します。

全体会議1 :

連帯に活力を
Energizing Solidarity 

基調講演では「自転車を推進したければ、自転車の話をするな」という、示唆に富んだキーメッセージが示されました。これは、自転車利用の促進を単なる交通手段の改善として捉えるのではなく、いかに都市生活全体の質を向上させるかという視点で語るべきだ、という提言です。
フランスのパリやコロンビアのボゴタの事例から、「市民の健康が増進する」「通学路が安全になる」「中心市街地が賑わう」といった、誰もが望む暮らしの価値に結びつけることで、幅広い賛同が得られると紹介されました。市民が真に関心を寄せる課題( 健康、経済、安全など)の解決策として自転車を位置づけ、政策決定の場に主体的に関わることの重要性が強く訴えられました。

全体会議4 :

楽しみと健康のためのサイクリング
Cycling for Joy and Health

このセッションでは、自転車が心と体の健康を高めるだけでなく、観光や日常、余暇をつなぎ、地域のコミュニティを強くする存在であることが議論されました。
政策を立案する際には、データだけでなく「共感」を軸に据えるべきだと強調され、その具体策として、行政職員が実際に自転車でまちを走り、課題や魅力を体験する研修や、あらゆる年齢・能力の人が使いやすい道かをチェックするツールの活用などが有効だとされました。また、子どもの自転車離れといった課題に対しては、楽しさを重視した体験設計や、多様な自転車の姿を見せる工夫の重要性も指摘されました。

注目の分科会

分科会は、全体会議で示された大きなテーマを、より具体的で専門的なトピックに落とし込み、各国の事例や研究成果を共有する場です。ここでは、日本国内でも関心の高い3つのテーマをご紹介します。


(1.3)農村部における自転車利用を拓くツール
Tools to unlock cycling as a mode of transport in rural areas 

「農村部は移動距離が長いから自転車利用は難しい」という思い込みを覆す内容でした。実際の移動データを見ると、農村部でも短い距離の移動は多く、自転車利用の潜在的なニーズは存在します。しかし、安全性の懸念や自転車道の未整備が大きな壁となっています。
このセッションでは、広域で自転車道の基準を統一し、複数の自治体が連携してネットワークを整備することの有効性や、廃線跡をサイクリングロードとして再生し、通勤路や観光の軸とする事例が紹介されました。利用者数だけでなく、誰もが公平に移動手段へアクセスできる環境を重視し、地域の暮らしと活性化を同時に実現する視点が重要です。


(3.3)女性の利用促進が、全体の利用を加速させる
Women in cycling ‒ a catalyst for more cycling

女性の自転車利用を増やすには、男性中心になりがちな自転車文化、路上でのハラスメント、更衣室やトイレといった施設の不足、夜間の安全性への不安といった課題に正面から向き合う必要があると指摘されました。特に10代の女子が自転車から離れやすい傾向があり、身近に感じられるロールモデル(手本となる人物)を見せる工夫が効果的です。また、イベント開催時の託児サービスや、夜間でも安心して走れるルートの整備といった具体的な対策が、結果として子どもから高齢者まで、誰もが利用しやすい環境につながり、街全体の自転車利用を加速させると結論づけられました。

(8.2)自転車通学の推進 ― プログラム、インフラ、政策
Cycling to school ‒ a showcase of programmes, infrastructure and policy

自転車通学は「幼い頃から」習慣にすることが最も効果的です。乗り方やメンテナンス、交通ルールの実践的な教育を行い、楽しいキャンペーンを通じて自転車に親しむ機会を作ることが重要だと報告されました。ポーランドの小学生が5月に自転車などで登下校する「サイクリング・メイ」という大規模な取り組みも、その成功例として紹介されました。
子ども自身は自転車に乗りたがりますが、保護者からの理解や行政の支援を得やすくすることが重要だと指摘されました。そのためには、自転車通学が子ども個人のためだけでなく、地域全体の利益にもつながることを伝え、協力の輪を広げていく必要があります。